古雜文庫

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細井和喜藏:女工と淫賣婦に就て

表 題 女工と淫賣婦に就て
著 者 細井和喜藏
底 本 「藝術戰線」(1923年6月27日 自然社刊)
初 出 『種蒔く人』第四卷第十七號(1923年3月)
更新日 2021/11/12

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 今日の社會では、何でも彼でも厚ケ間敷く八ケ間敷く出ないと損だ。お上品ぶると云ふ譯ではなくても、音無しく默つて控へ目にしてゐた者はお仕舞にど偉い馬鹿を見なければならない。紡績を始め數多の女工がそれである。殊に紡績女工はさうだ。
 社會、勞働、人道問題としての繊維工業勞働者は最も其の風土を、中心に置いて考へられねばならぬ凡ての條件を具備してゐる。數に於いて、勞働條件に於いて、眞つ先に片付けなきやならぬ性質を有つてゐる。換言すれば資本主義の爛熟まさに其の極に在る。其れ丈け此の勞働者は非道い目にあはされてゐるのだが、發言をしなかつた故に今日まで餘りに之が存在を輕く見られてゐた。
 尤も其んな非道い虐待を受けて居り乍ら默つて堪へ忍び、苦みを兄弟にも打ち明けなかつたと云ふのは如何にも意氣地なく女工自身が惡い。併し合手は高がちつちやな子供や弱いと云ふ女子ではないか、默つてゐたからとて放つて置くのは第一兄弟としての僕達も餘りにエゴイスト過ぎると云はれやしないか? お互にこれからは厄介でも少しづゝ面倒を見てやろうよ。