古雜文庫

図書カード

靑山倭文二:犯罪實驗者

表 題 犯罪實驗者
著 者 靑山倭文二
底 本 『朝鮮公論』第二十五卷第四號(1937年4月1日 朝鮮公論社刊)
初 出 同上
更新日 2021/12/12

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 私の友人である若い犯罪小說家大木玉之介が、罪を犯した事を、私は昨日の新聞で知つて驚ろいた。
 まさか、あの大木が——と、日頃の彼の溫順しい性質、態度からおして、疑つて見たほどだつた。が、新聞には、「犯罪小說家の實驗者大木玉之介」と、歷然と書かれてゐる以上は、疑ひを挾む餘地とてはない。
 事件の起つたのは、一月五日の夜であるから、ざつと二ケ月も以前のことである。
 さう云へば、私も、まだ酒氣のさめない正月の六七日ごろ、廣小路の雜踏の中で、腕に繃帶を卷いて首に吊つた大木に逢つた事を思ひ出した。
 その時は、酒に醉つぱらつて、そこいらで倒れた名殘り位に思つて、深く訊ねることもなく別れてしまつた。そして彼も亦その時に限つて、何だかそわ〳〵して別れてしまつた事も、今にして思へば頷けるやうな氣がした。
 事件はかうである。——